2015年10月29日木曜日

鉄道ミュージアム アウグスブルグ

週末、家族で、アウグスブルグにある鉄道ミュージアムへ行って来た。
アウグスブルクはミュンヘンから電車で約40分ほどにある小さな街で、モーツアルトの父の家や、宗教革命を起こしたルターが滞在したことがるSt.アナ教会などがあり、歴史的にも重要な小都市。

今回は、鉄道ミュージアム、アウグスブルグ•人形劇場ミュージアム、モーツアルト父の家、St.アナ教会を巡る予定を組んだが、モーツアルト父の家は現在閉館中。その代わりといってはなんだが、ザルツブルク近郊に来週、休暇に出かける予定なので、その時にモーツアルトの家を訪問したい。

鉄道ミュージアムは、アウグスブルクの中央駅からバスで8分ほどで着く。夏季限定で、10月いっぱいで冬期休業に入る。

http://www.bahnpark-augsburg.de

入り口ホールに入ると、いきなり機関車が出迎えてくれる。無造作に展示してある機関車の迫力がすごい。わくわくするね!というと、妻は、男の人はそうかもね、、とそっけない返事。
箱根鉄道の列車が走るビッグサイズの鉄道模型を眺めていると、隣の機関車の運転席からおーい、と声がするので見上げてみると、長男君が手を振っている。この運転席、これもまだ現役当時のままで、自由にレバーなどを動かすことが出来るので、子供にはたまらないらしい。


一方で、次男君は、もうかれこれ40、50年以上現役から退き、ある意味うらぶれていて、いたるところにかすかに闇が染み付いているような機関車内部がなんとなく薄気味悪いらしく、乗せようとすると必死の抵抗を試み、ほとんど機関車を見ることはなかった。

機関車の横を全速力で疾走中
中庭に出ると、改装中の操車場前に列車のレールが伸びている。

改装中の操車場
レールの上部は丸みを帯びていて、その上を、落ちないで歩くのは予想外に難しい。長男君がまず、この上を落ちないように歩き始め、家族全員で“レールの上をどこまで歩けるか競争”となり、長男君が優勝。次男君はすぐ落ちてしまうんだけど、パパの手を持って、最後まで果敢に挑戦。実際レールの上を歩く体験はそうそうできないので、面白かった。

線路はつづくーよ、どこまでもぉ。
バランスを取りながら、おきまりのデヤッのポーズ。
約3時間ほどミュージアムに滞在し、人形劇場ミュージアムに向かうことにする。ターミナルであるケーニヒス広場まで戻ったところでカフェブレイク。しかし、ここで鉄道ミュージアムで体を冷やしてしまった長男君は、スプライトを飲んだ後気分が悪くなってしまい(今、思い返してみると、グミの食べ過ぎだったのでは?とも思う)、もう帰りたいと言い出した。

それでもせっかくだからと、ケーニヒス広場の近くの、ルターが滞在したことがあるアナ教会へ。 1518年、前年に95か条の論題を発表したルターは、主張の撤回を求められ、アウグスブルグに召喚される。結局、ルターは自説を曲げることはなかったが、その際に滞在した教会が、このSt.アナ教会だ。その後の歴史はみなさんの知るところだ。
教会には、ルターを中心として、その後の歴史にまつわるギャラリーがあり、じっくりみたら面白そうだった。

教会内部、回廊。
もちろん次男君には薄気味悪いので早く帰りたいらしい。
ギャラリーで面白い絵を発見。30年戦争の時に、アウグスブルグを囲んだスウェーデン軍との戦いの様子を描いたものだ。一枚目は赤い門周辺の攻防の様子。この門の内側には今回行くことができなかったアウグスブルグ人形劇場ミュージアムがある。
赤い門での攻防。右上のエンブレムには、スウェーデン王、アドルフが。
攻防の遠景。この絵の中の旧市街の南側が現在の中央駅になり、右側に赤い門が位置する。
長男君の体調がすぐれないので、結局今回は、このまま帰宅することにし、アウグスブルグを後にした。 
まだ、学校では歴史でルターとか30年戦争を教えていないらしいが、歴史の面影が色濃く残るのもヨーロッパの都市の特徴なので、今後も課外授業がてら、南ドイツ小都市を巡る旅を続けて行きたい。

2015年10月21日水曜日

ペントハウス

約一年かけてディテールを計画してきたケーニヒス広場近くのペントハウスは、あと約4ヶ月ほどで竣工する。

今は屋根工事と内壁工事が進行中。そのあと、窓が設置され、家具工事や仕上げ床の工事に移っていく。


写真は、屋上のテラス。ペントハウスの上にあり、建物のてっぺんにある。組み立てられたサッシの骨組みはペントハウスからの階段出口であり、天蓋を横にスライドしてこのテラスに出ることができる。

遠景にフラウエン教会の双塔。その手前に広がる住宅群は全て、ベルリンのポツダム広場の都市計画をしたヒルマー•ザットラー建築事務所の設計したものだ。
この方角から左方に10度視線を旋回させると、ルートビッヒⅠ世の墓があるボニファツ教会の修道院の庭が広がっている。ルートビッヒⅠ世は、狂王ルートビッヒⅡ世の父である。ルートビッヒⅡ世は、ディズニーランドの白雪姫の城のモデルとなったノイシュワンシュタイン城をつくり、フランツ•ヨーゼフ一世の皇后であったエリザベートへの恋慕でも有名な王であり、財政難でゆれるビッテルスバッハ家の懐事情を鑑みず築城を続け、最後は謎の死を遂げた。しかし、狂王とまで言われた王の遺産は、現在、バイエルン州の観光の目玉となっている。歴史とは皮肉なものだ。
さらに視線を左方に旋回させるとケーニヒス広場があり、その奥はナチスの本部があった場所で、自分のブログでも紹介しているが、今年開館したナチス資料館がある。ケーニヒス広場に面した古代収集館では現在、エトルリア民族の装飾文化という特別展が開かれており、先日息子たちを引き連れてガイドツアーに参加してきた。ツアーの最後にブローチを、当時の技術を使って製作し満足気な長男君であった。
東方に旧市街、マックスフォアシュタットを眺めるこの屋上テラスの足下には、左様にミュンヘンの歴史が広がっている。絶景かな。

今は、この建物の西側に位置する歴史的保存建物の内部改修の平面計画と、このペントハウスのある建物と前述の保存建物の間に建つ新築建物の基本設計を担当している。基本設計の前段階ですでにおおまかな造形は同僚が担当し終了しているので少々退屈だが、仕方ないね。基本設計が終了したら申請図面の作成にとりかかることになる。

2015年10月5日月曜日

折り紙ワークショップ

日本を離れると日本のことが恋しくてたまらなくなり、その素晴らしさに気づく。
ご多分に漏れず、日本では見向きもしなかった日本の文化や事情に詳しくなったりもする。ということで、今回は折り紙について。

我が長男君はいつのまにか折り紙の才能を発揮しており、まだ日本でいうところの2年生にもかかわらず、かなりの技をマスターしている。すごいな、と思うのは、新しい作品に挑戦するときにも、教本をみながらあれよあれよという間に作り上げてしまうこと。自分の記憶では、教本を読んでも途中で全く分からなくなってしまい、イラつき、結局完成できないという場合が多かったんだけどなぁ。そして、一度つくった折り紙の折り方をすぐ覚えてしまう。自分は鶴でさえ忘れてしまって折れなくなったりするんだけど。
とにかく彼は、折り紙が大好き。好きこそものの上手なれ。

ということで、週末、ミュンヘンの日本祭りで知り合いになったスザンヌさんを我が家に招待し、折り紙ワークショップを開きました。息子の友人と、その弟、そして彼らのママも参加してくれました。
スザンヌさん、折り紙歴が長いとは聞いていたんだけど、次から次へと繰り出される作品を見るにつけ、その凄さに改めてびっくり。

まず、なにやら荷物をいっぱい抱えてよっこらしょと現れた彼女。何を持ってきたんだろうと思っていたらバックの中から、色とりどりの折り紙、そして折り紙の本、約20冊をどっさり取り出した。自宅には壁一面の棚の中に折り紙がぎっしり詰まっているらしい。。ほとんどセミプロ。
和気あいあいとした雰囲気の中で、さっそく息子と友人君が恐竜を作り出した。自分も挑戦したんだけど、難しい。わが次男君と友人弟君は、しばらくするとすっかり退屈してしまい、仮面ライダーの変身ベルトで遊びだしてしまった。スザンヌさんは、それでも要領を得ていて、動く折り紙、例えば唇とかカエルとか餌をつつく鳥とかを作ってうまいことちびっ子たちの興味を引きつけていた。

自分は多くの本の中から少々複雑な銀河鉄道の夜シリーズの本を選び機関車に挑戦。結局、車輪を二本しか作ることができなかった。
ところで、エンジニアの中にも折り紙の魅力に取り付かれてしまった人はいるらしくて、機械のある部分がどうしても安定しなかったんだけど、あるとき折り紙のテクニックを応用して鉄板を加工したら安定した、とか、スザンヌさんは工学もしくは建築に応用されている折り紙の話にも通暁していてそういう話を伺うことができたのも楽しかった。自分の日本での博士後期課程でお世話になった先生の前任者が茶谷先生という折り紙と建築について研究されていた方で、スザンヌさんは、その人のこともご存知でした。人のネットワークがこういった風に繋がり始めると、面白いですね。


さて、13時頃に、スザンヌさんが作ったプレゼントにも使える小箱が息子君と友人ママの心を捉え、ママさんが小箱を作り終えた段階で、ご一家は帰路に着きました。

10時30分から始めたワークショップは、昼ご飯を挟んで午後4時で終了。昼食後は、すっかり小箱に熱中した息子君、鶴の小物入れの作り方を教えてもらい、次回は小箱の折り紙ワークショップをやろうという約束をして、今回は締めとなりました。
お誘いしたらすごい喜んで来てくれて、息子とのコミュニケーションもとても楽しんでしてくださり、とっても嬉しかったです。スザンヌさん、ありがとう。また、何ヶ月後かにワークショップやりましょうね!

ところでこの小箱、写真をみてもらうと分かるんだけど、すごいんだよ。蓋と箱の折り方が違って、蓋はちゃんと一サイズ大きくなるので、すっぽりはまる。
息子君はスザンヌさんが帰宅し、ママが帰って来て夕食の支度をしている間も色々な紙を使って、この小箱と鶴の小物入れの別バージョンに取り組んでいました。


完成品。ちゃんと色どりも考えられていて美しい。

ちなみに、銀河鉄道の折り紙の本、貸してもらっちゃったんだけど、これは次回までに完成しておかねば、ならぬのだろうか。。。