よく雨の降る夏だった
ママと僕が出会ったあの夏も、そうだったよ
二人で、路面電車のホームの椅子に腰掛け、ひっきりなしに降り続く雨の雫を見ていたね
そう、雨紋の向こうに進もうとする君の未来を、僕は知らない
そして、水駅の向こうに何があるのか、僕たちは知らない
そこにあるはずの山岳や渓谷の咆哮を、僕は聞いたことがない
つなぐ手のひらから伝わる温もりが
濡れた世界から剥離し始めるとき、
波紋の一画に微熱がにじみ 波頭を越えるとき
僕たちもその一線を越える その先を目指して
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