今日のミュンヘンの天気は最高。
最近は、同僚と一緒に昼食はとらず、一人、次男の名前を考えていることが多いのだけど、今日もその例にもれず。なんか素敵な名前のキーワードでもないものかと思いながら、藤森先生の茶室学をぶらぶら歩きながらシュバービング地域を散歩。建築とか、茶室のワードから、なにか素敵な名前が思いつかないかなぁ。
ところで、今日、藤森先生が奥様と一緒にミュンヘンへお越しになり、事務所の所長、ハネスがかねてより計画していた、事務所周辺のテオドア・フィッシャー建築めぐりに、通訳としてご一緒することができました。奥様に挨拶すると、私のブログをご覧になっていただいた、とのこと!読んでいる人などほとんどいないと思っていたので緊張が走りました。これからもうちょっとしっかり書かないと。。。と思って、過去の記事にざっと目を通してみると、なんとも誤字脱字の多いこと。トホホ。
まず、フィッシャーの都市計画の本を先生へ見て頂いて、この本の作成に参加した同僚が解説をしました。先生もおっしゃられていたのだけど、図面上では、道路がほんのちょっとウネ、っとしているようにしか見えない、ましてや、そのちょっとしたウネでさえも見落としてしまいそうな計画なのですが、実際に解説されながら見てみると、なかなかダイナミックな空間が出来ていることに気づかされる。時間の関係で、自分が個人的に一番好きな街路計画がされている地域へは向かわず、クアフリステン広場を経由してエリザベーテン広場に面した学校建築へ向かう。この辺りは、この広場を中心に、建築家ハウベリッサーの意図した建築の序列配置、そしてハインリヒの提案したゾーニングの手法が、フィッシャーによって見事に融合され、さらに彼独特の、ジッテの思想に影響された都市計画手法が存分に発揮されている場所。
そして、地域の中心とされた学校建築の内部へと足を踏み入れた。
先生の目は、まず、表面をはつられたコンクリートへと向かう。ここからペレー、そして打ちっぱなし表現へと変遷していくのではないか、と。シュタイナーのゲーテアヌムの第一作の建物もそういう表現がされていたという。たしかに、南ドイツの初期コンクリート表現というのは、石に似せようという気持ちが滲み出している。
そして同僚とハネスが言うには、シュタイナーなどが活躍した時代は、がんじがらめの押し付け教育からリベラルな教育へと舵が切られたときでもあり、このフィッシャー建築も、そういった教育に対応できるように、ゆとりのある空間が設計されている、とのこと。
んーーー、ゆとり教育だからゆとり空間???ちょっとそれって飛躍していない?フィッシャーの建築って、学校建築に限らず、こういう空間設計をしていると思うんだけど。。。
そんな話をしていると、建物の管理人に偶然出くわし、ハネス得意の話術によって、建物の塔へ登れることになった。ずんずん階段を登っていく。
大屋根のある部分でテラスに出て、ミュンヘンの市街地を見晴らす。テラスの床が金属で葺かれていたので、通常は使われていないテラスなのだろう。そこで、ミュンヘンの主要建物の説明、建物の主要な特徴などについてハネスが説明。屋根の瓦を観て、バウワウとの共同設計における屋根材の話になる。藤森先生いわく、バウワウは空間計画は非常に良く考えているが、表面材など、防水紙をつかったりするし、あんまりマテリアルや伝統建築に興味がないのではないか、とのこと。いやでも最近は、伝統建築に興味があるみないたので、藤森先生の影響なのではないか、とハネスが突っ込んで、一堂大笑い。それにしても興味深いのは、人は何故か大屋根とパノラマを前に、すがすがしい気持ちになる、ということだ。なんで大屋根と都市のパノラマを前に話しをすると、あんなに楽しいんだろう。
ここから下へおりるのか、と思っていたら、更に上も見せてくれるらしい。ずんずん階段を登っていく。だんだん細くなっていく階段。もうどうでもいいやって感じで、階段の場所とか、階段の固定の仕方とかもだんだん雑になっていく。
最上部へくると、窓の開口部の下枠と床面が同じレベル、つまり、転落防止の手すりなし。みんな息を呑んで、ミュンヘンの町を見下ろした。
その後、大屋根の屋根裏部屋というか、広大な空間も見ることができた。自分的には、この屋根組みの見える空間が一番良かった。ドイツの屋根組みは、日本のように、屋根材を組み合わせて加重を下に導くという感じではなく、材を挟み込んで、結合部で押さえ込んで力を伝えているように見える。なにかしら緊張感のある架構。幾つかの材が引き抜かれ、新しい鉄骨のジョイントとなっている点に、伝統建築物保存の観点から、こういう事例はあまりない、とハネスは興奮ぎみ。
建物の出口では、コンクリートではなく、本当の石がはつられていて、やはり世紀の変わり目のコンクリートは石の代用品として扱われていたのか、と思った。
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