ドーム、カール大帝
東側のゴシック様式で増築されたコア部分にはカール大帝の亡骸が金色の棺の中に横たわっている。これは、本物だそうで、そのほかにもこの空間には宝物箱があるが、その中にはキリストの亡骸を包んだ布があるそうで、贋作だと証明できないので本物だ、と詭弁とも取れる説明で、その真作性を主張していた。
二階部分にはカール大帝の作らせた椅子があり、ドームを一望する場所に据え付けられているが、カール大帝は着座することはなかったらしい。
ドームの中央には、バルバロッサが寄贈した燭台リングが吊り下がっている。
教会 Rudolf Schwarz
修道院 Vaals, Hans van der Laan
アーヘンから国境を越え、オランダへバスで15分くらい走ると、修道院はそこにある。親切なバスの運ちゃんが、普通だったら止まらない修道院の前で止まってくれて、テクテクと修道院へと伸びる道を約5分ほどかけて登る。
入り口がどこなのか、わからなかった。とりあえず人影を建物の中にみつけ、呼び鈴を鳴らす。管理人のおじいさんが顔をだし、自由に中を見ていいよ、という。見学者は僕一人。だーれもいない空間を歩き回った。
礼拝堂は上下二重になっていて、半地下のほの暗い礼拝堂と、地上の明るい礼拝堂がコントラストをなす。この建築には、本当に多大なインスピレーションを受けた。まず、その素材の使い方が素晴らしい。壁をなす素材はレンガ、コンクリート、そしてしの上を漆喰で塗られているのだが、この素材には構造的な意味と、ファサードの分節が役目として与えられ、結果として、非常に静謐な空間が立ち上がっている。
さらに個人書斎の荒々しい木材の使い方、藤マットとコンクリート、あらゆる素材のコンビネーションが実に素晴らしく思えた。彼の他の建築物も見に行きたい。
管理人のおじいさんは、近所に住んでいるらしく、彼の末の兄弟が僧侶としてこの修道院に住んでいる。今から地下の、この兄弟の工房へ行くから、興味があるんだったら一緒にくるかい?と聞かれ、二つ返事で付いていった。
工房では、兄弟の僧侶が、墓石に使う彫刻を彫りだしていて、どうだい、これ?と聞いてくる。僧侶として生き、工房で働く。シェーカー教徒みたいで、そんな人生もいいなぁ、と思った。そういえば、建築家のラァーンは僧侶であって、建築は主な職能ではなかった。
英語が僕は堪能ではなく、彼らも堪能ではないので、ドイツ語しゃべれますよ、といったら、そのほうがやはり簡単らしく、色々と詳しく説明してくれた。とはいえ、こんな国境近くでも、国を超えたら言葉も本当に変わるんだなぁと実感したのは、彼らのドイツ語もそんなに堪能ではなかったということ。
ラァーンにとってはプロポーションが非常に重要であったらしく、人間の重心はへそにあり、へそを中心としてプロポーションは5対8、つまりお黄金比に別れる。そして、ラァーンは独自のフォントも作ったけれど、その比率は、黄金比で作られている、ほら、ここに石に彫られたフォントがあるよ、と見せてくれた。
下に縦型の写真を載せているが、これは勉強部屋であり、ベンチのほかに、勉強机が置かれている。この写真が、今回、僕が旅行で撮った写真の中で一番のお気に入りだ。
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