2012年5月19日土曜日

ドイツ建築旅行 ケルン

先日、9日かけて、ドイツのケルン、アーヘン、ワイマール、デッサウ、ベルリンと駆け足で建築めぐりをしてた。最近は、家族旅行が多く、奥方に建築旅行をすると嫌な顔をされるので、久しぶりの建築三昧を楽しんだ。
ケルンまで、飛行機でひとっとび、約一時間で到着。
とりあえず、気ままに書いていこう。

ケルン大聖堂
やはり、空へと伸びる力強さは素晴らしい。尖塔アーチの繰り返しが、空への上昇力を強調し、柱の重量感も、上昇力へと変換してしまう。ケルンを訪問した後、ワイマールを訪れゲーテの存在を身近に感じることが出来たが、ゲーテがゴシック建築を、これこそわれらドイツの建築様式だ、として礼賛した高揚感を、異国人の眼を通してとはいえ、感じることが出来た。
ちなみに、ゲルハルト・リヒターが大聖堂のステンドグラスをデザインした、という話を後々同僚から聞き、あー、見逃した!と思っていたが、写真を確認すると、大聖堂の中にて一番最初にとっていたステンドグラスが、かのリヒターのものだった。








































ケルン市街地
もちろん、都市構造、特に境界部分にも興味があったのだけど、今回は歩きまわり疲労困憊するのが嫌だったので、ちょっとたしなむ程度にケルンの境界部分を見てきた。まず、旧都市壁部分に造成された、ライン川からライン川へとレインボー状の都市リング、緑地ベルトがぐるりと中心部を取り囲んできるというのが大きな特徴。都市リングは、大きくは環状線、その外側の建物ブロック、そして緑地公園で形成されている。環状線の構造は結構見もので、環状線からちょこんと毛の生えたような短い道路の先に建築物や広場がある枝状のものがほぼ等間隔に配置されている。その外側にある建物ブロックは高級住宅街として整備されていて、おしゃれな店なども点在し、散歩するにはとてもいい空間になっている。環状線自体も、仙台のケヤキ並木のような素晴らしい都市プロムナードとして整備されていて、都市境界形成の素晴らしい一例とみなすことが出来る。ただし、その外側にある緑地帯が都市中心部と周辺部を見事に切り離している点が、個人的にはちょっと残念だった。
本屋で偶然、アルベルトシュペアージュニアの2006年に出版されたケルン都市計画の本を発見、まだ読み込んでいないが、拝読するのがかなり楽しみな一冊である。シュペアーというのは、かの有名なナチスドイツの党大会会場などを設計した建築家で、ジュニアはいうまでもなく、その息子である。
ケルンは、ローマ時代に植民都市として建設され、狂王ネロの母親であるアグリッパを輩出している。従って、脈々と続く歴史を読み解くのも非常に興味のある作業といえるだろう。今回は、後にも書くが、アーヘンを訪れたということもあり、メロビンガー、カロリンガー家の歴史などについて、歴史書などを買って、興味深く、浅はかではあるけれど読み込む努力もしてみた。

コルンバ
今回、一番感銘を受けた建物が、ペーター・ズントーのコルンバ。第二次世界大戦で破壊されてしまった教会の廃墟上に建てられた美術館。これは凄かった。ディテールから建築プランまで、すっと一貫されたコンセプト。極限まで精錬されたような無駄にない建築、そしてその素材感。そして光の建物への侵入のしかた。くどくど書いても仕方がないのでここでの詳細は避けるが、薄く細長いレンガと、土漆喰、継ぎ目のないテラッツォや、主室の壁と床の間の隙間は延々と続き、そこから空調されていたり、主室に沿って配置された小展示空間の、主室とは異なるマテリアル、ディテール、そして塔と命名された展示空間のハイサイドライト、金物のデザイン、ディテールなど、とにかく、圧倒された。
計画には、10年の歳月が流れ、廃墟の中を横断する木製デッキなどは、1|1モデルが幾つか作製されたようだ。





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