現在、日本のアトリエ・バウワウ(アトリエ・ワン)と計画を進めている、ミュンヘンに建つ学生寮について、途中経過を報告したい。
この計画ではバウワウが基本設計を行い、私たちの事務所が実施設計を請け負っている。
施主は、シュドハウスバウという、ミュンヘンを中心に、不動産経営をしている会社。建物の企画から基本計画書、設計管理に、賃貸からの利益を一手におこなう、しかも家族経営の会社である。
http://www.suedhausbau.de/index.php?id=454
上記URLにプロジェクトの紹介がされているのでご参照いただきたい。
この建物では、ドイツ語ではエルカーという、出窓が設計のアクセントとなっている。
また、パッシブハウスの基準を満たすため、16センチのコンクリートに24センチの断熱材が貼り付けられている。
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私は現在、中庭に面する基礎部分の詳細図を描いています。地下が駐車場になっているので、中庭の防水、植栽のための土かぶり厚さ、ガラスファサードなど、が現在のテーマです。
先日は、屋上道路側出窓の確認申請図面における認識のずれをミュンヘンの建築庁に指摘され、配置図を再度作成し、提出してきました。さて、どうなることやら。
ミュンヘンでは道路斜線や北側、敷地斜線に相当するセットバック面積、という法規があるのですが、そのコメントの多さから、全てを把握するのは法律家でも難しい、とは所長の談で、なるほど、法規のページ数だけでもゆうに50ページほどあります。しかし、改めて、この法規を十分に理解していないと、後々面倒なことになるな、ということを認識させられました。
この学生住宅、ミュンヘン・ドイツの新聞メディアでもたびたび取り上げられています。
あるメディアでは、この計画が地域委員会で大いに歓迎されたことが取り上げられました。この建物には、キャラクターがあり、将来的に地域を演出するような顔となるだろう、と。
ところで、メディアも結構いい加減なもので、色々間違ったことを書き立てます。スーパーマーケットが地下にあるとか、学生部屋の数が違うとか、家賃が公表されたものと違うとか。
家賃ということでいえば、あるメディアは、この建物が立地する地域のジェントリフィケーションの先駆けになってしまうのではないか、と書きました。
CSUのある議員は、この建物はこの地域の価値をあげるだろう、と賛辞を述べたのですが、そこに噛み付いたのです。何人かのSPDの議員は、この建物には子供の遊ぶ場所がない、スーパーの窓が大きすぎる、そしてなんといっても、家賃が高く、この地域のジェントリフィケーションの先駆けになる、と警告します。そもそも党によってこのように意見が統制されていることがちょっと気に食わないのですが、この意見を受けて、シュド・ハウス・バウは、この家賃はミュンヘンの学生寮の相場からは大きく外れてはいない、と反論しています。
そもそも、学生を引き入れる計画に物申す意見としてジェントリフィケーションというのは妥当なものなのかどうか。私の感想では、駒場、早稲田や、ソルボンヌの立地するカルティエ・ラタンなどは、賑わいを見せこそすれ、学生の街となることによるジェントリフィケーションてあんまりイメージが湧かないのですがどうなのでしょうか。そもそも、学生って裕福な人もいるでしょうが、基本、貧乏だと思うのですが。。。。
これからどうなっていくのでしょう。また進展があり次第、報告したいと思います。
JA 最新号、88号 year bookにて、事務所の所長、ハンネス・レスラー氏がエッセイを執筆しました。自分は翻訳を担当し、非常に大変な作業でしたが、最終的にはなかなか面白いものになったと思います。是非、ご覧ください。
http://www.japan-architect.co.jp/jp/new/book.php?book=JA
みなさん、よいクリスマスをお過ごしください。
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