2011年9月22日木曜日

Gasometer

ガゾメーター、コープヒメルブラウ
圧倒的な存在感を示す、かつてガスタンクだった建造物と、コープヒッメルブラウの現代建築のコントラストが素晴らしい、ガゾメーター。
液状ガスタンクだった建造物は、本来はレンガ造である必要はなかった。だけど建造時の皇帝がレンガ造にしろ、と注文をつけたらしく、本来のガスタンクの外側にレンガ造の壁が建てられ、結果として威風堂々たる建造物群になった。それらが本来の役目を終えたときに、内部にショッピングセンターや駐車場、ホール、学生寮や住宅として改築された。
とりあえず、その心意気がいい。なんでも取り壊してしまう文化圏の人々に見せ付けたい。そして、その周辺に、歴史的建造物とするどいコントラストを放つ現代建築を付加する計画にも激しく賛同する、といいたいところなんだけど。
現代建築の工業マテリアルにはやはり一抹の不安を覚える。何故なら、それらが汚れを受け入れないからだ。それは経年劣化による汚れでもあるし、メンテナンスの悪さから発生する汚れでもある。それとも、これは藤森先生や、今の勤務する事務所の所長の影響か。とりあえず、コープヒメルブラウのオフィスビルを見て、そう思った。
写真、駅コンコースからタンク建造物を見上げる。内部はショッピングセンターになっている。
タンク内部、こんな感じ。そこも有名建築家がデザインしたはずで、ジャン・ヌーベルとかだったと思うが、どこが誰か合致せず。ガラス屋根の上部に見える部分は学生寮。ちょっといいんじゃないの、この雰囲気で学生生活を送れるのは。
建物見に行ったときには、何基タンクが建ってるのか数えなかったんだけど、この図を見ると4基。感覚的にも合致するので4基なのだろう。図中、黄色く図示された部分が公共スペースで、つまりショッピングスペース。そこしか見学することができない。上部、黄緑は賃貸住宅、緑は分譲住宅。
これは3つめのタンクのガラス天井から見える分譲住宅。ドーム下部はレストラン。人がいなくてガラーンとしている。活気なし。
 
そして。この建物群をなんといっても特徴付けているのが、このコープヒメルブラウのオフィスビル。 かっこいー。
 
この造形力。曲線、水平連窓、垂直性。
足元はマッシブなコンクリートの構造体で支えられているが軽やかだ。
もはや、こうるさい説明などいるまい。昔はよかった、現代は色んなことを忘れた、としかいえない人はこれを見て、現代パワーのなしえる可能性についてもう一度ふかーく再考するべきだよ。
上部写真はオフィスビル裏側、非常階段と、タンクへの接続部。この微妙な曲線に、必要機能をどのように添付しているか、観察するとなかなか面白い。
だれか、そういうの、意匠系の学生が研究してないかなぁ。
タンク本体。改装されている窓枠などのディテールも美しい。
隣に建つ集合住宅。
足元に遊び場があるのだけど、非常に殺風景。なんとかしてくれる?
でも窓の配置、ディテール、無機質な感覚だけど、よくできていた。
結局、自分の中でも答えが出ていない。新しいものがいいのか、古いものがいいのか。どちらにも言い分があり、どちらにもデメリットがある。だから、どちらがいいか、とか、どちらが悪いって優劣をつけてもまったく意味がない。ケースバイケースで対処するしかない、と思うんだけど、客観的な立場に立って論じる場合にはそうもいくまい。創造する側として、常に善意のみが存在しているともいえないし、そもそも善意か悪意かを測るスケールはどこにあるのか。

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