2011年9月13日火曜日

ワーグナー自邸

ウィーンの地下鉄U4はワーグナーの手がけた駅舎が多い、と書いたが、このU4線は郊外へと延びていて、その郊外の終点に、ワーグナー自邸がある。
写真:ワーグナー自邸その1
ワーグナー自邸は二件あって、最初につくられた自邸(写真、ワーグナー自邸1)は彼の奥さんが病死してしまうまで住んでいた場所で、その後、愛妻の思い出とともに暮らすことに、もしくは亡くなってしまった悲しみを背負いながら、彼女と暮らした場所で生活していくことに耐えることができなかった彼は、そのすぐ近くにもう一軒、自宅を建てた。こちらのほうは現在、美術館として開放されており見学することができる、のだが。。。。
この建物、とある某フックスというちょっとキチガイじみた画家に買い取られ、改装されてしまっている。そして、どの程度改装されているのか、といった解説があまりないので、オリジナルがどうであったか想像しなければいけない場合が多い。
なんといっても、キチガイじみた色で彩色されてしまっていることには、はっきり言って、怒りさえ覚えた。そしていたるところにキチガイ芸術。はぁ。
写真:ワーグナー自邸2
エントランスのポルティコ、ごーかですね。みなさん、写真を見る限りではそんなキチガイじみてないじゃん、と思うかもしれません。しかし、よーく目をこらして見て下さいね。
あれ、水色かぁ、あ、そうなの?と、このあたりでちょっと不思議に思い始めます。しかし、この時点ではまだ、建物が美術館になっていて見学できることは知っていたのですが、某フックス教授の美術館になっているってことを知りません。しかも、ここはメインエントランスかと思いきや、全ての扉が閉まっています。あれ?今日は閉館なのか?と思いつつ、裏手へまわりました。すると、人がいます。受付のおばちゃんです。入場料、12ユーロです。。。。タケェ。にわかに、入場しないで帰ろうか、という気にもなりましたが、ここまで来たのだから、という思いで入場を決意しました。そして、、、、
なに、このシャンデリア??この天井装飾??この絵?????え??えええ???
これは、、、、、何かあったに違いない。ことの次第をだんだん理解しはじめます。。。。
あーーー。この床材、この壁紙。うぁぁぁ。。。
極めつけはこちら。
きゃぁぁぁあああああ。
これは二階にある浴室なんだけど、この柱の色、この天井、そして柱の間に立つ壁の色、なにもかもが、破壊的です。ちなみに、この写真を旅行の同伴者である友人に見せながら柱のこの青とか、なんだよ、ひでーもんだよ、と説明していたら、その友人、こういいました。
うーん、浴槽の中のモザイクに青があるから、この青は許容できるなぁ。
そこでマジ切れする私。
ふーん、青いモザイクあるねぇ、それで???
彼の主張を抹殺です。
そんなひどい目にあいながらも、救いはあるものです。一つだけ、すばらしい部屋が残されていました。
 
この部屋はほぼ改装されていません。ユーゲントシュティルの香りをそこはかとなく漂わせる美しい部屋でした。階段横、暖炉の前の床の蛇のモザイクも美しいです。ただ、窓のステンドグラス、たしか、コロマン・モーザー作のオリジナルであったと記憶していますが、表面が波打っており、保存状態の悪さをうかがわせました。
壁から天井へのびて、天井の途中で終わる漆喰による付け柱の意匠も、以前に述べた、縦の躍動性を際立たせます。
ここで約10分ほど休憩もかねて佇んでいると、先ほどとは別の受付のおばちゃんがずかずかとやってきて僕に聞きました。
あなたは、あとどの位、ここにいるのかしらん?
この建物の規模をまだ把握していなかった自分は、
そうですねぇ、後30分位??
と答えました。
あぁ、だったら大丈夫ね、私ちょっと15分ほど、買い物に行きたいから、その間、あなた一人になるけどいいかしら?この美術館は、この建物だけではなく、庭にも見るところがあるから、退屈しないわよ!
まぁ、何の問題もみつけられなかった自分は、とはいうものの、一人とはどういうことか?という命題について探求するべきだったのですが、それで了承したのでした。しばらく内部を徘徊したあと、ほぼ改装されているので見るものがあまりない、と気付き始めた自分は、先ほどの素晴らしい部屋へ戻り、しばらく佇んだ後、ふっと魔が差しました。
まだ、入場料はらってないやんけ。しかも、あのおばはん、15分で戻るっていったのに20分過ぎてもまだ戻ってこないやんけ。このまま、入場料払わんと、帰ったろ。そうと決めたら、そく行動です。で、エントランスのドアを開けようとする私。しかーーーーし。
なんと、外側から施錠されているではありませんか!!!!あのおばはん、あろうことか、自分を美術館の中に一人残したまま、外側から閉じ込めよった!!
まず最初に思ったこと。 美術品の盗難とか、考えてないのかしらん????ああ、そうか完全密封したつもりでいるんだな?
しかも飽きたら、庭とか見たらいいんじゃないスカ、とか言ってたジャン。。。。
しかもだんだん、室内の熱気に耐えられなくなってきました。おばはん、30分が過ぎても、戻る気配がありません。実はちょっと調べて気付いたのですが、幾つかの扉は内部から開けて外に出ることが出来たのでした。しかし、ここまでするおばはんの心意気に心底感心していた自分は、従順に彼女の帰りを、あの素晴らしい部屋で待つことにしました。
そして待つこと、40分ほど、この後、レオポルド教会へ行ってみようとい気になっていた自分は次第にイライラしはじめました。そこへオバハンの登場です。。。。
結局、12ユーロを搾り取られ、おまけにとてもツマラナイ某フックス教授のビデオを見せられながら、その後、レオポルド教会へ向かったんだけど、教会は閉まっていました。
しかし、教会は週末開放されているという情報を仕入れ再度訪問し、ガイドツアーに参加し、堪能することができたのですが。
今思い返しても、ハプニング続きのこの美術館は集中して見学することができず、結局、なんであったのか、どのあたりが重要であるのか、今でもわからずじまいです。
ウィーンにはワーグナーの素晴らしい建築群は沢山あるので、みなさん、わざわざ高い金はらってここを見学するのは、くれぐれもやめておきましょう。

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